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~ 荒神谷薬草園とバイオテクノロジー ~

全国一多くの銅剣が発掘された荒神谷遺跡公園と協力して薬草の研究をしています。
多くの漢方材料を栽培する中で水耕栽培やバイオテクノロジーなどによる技術開発をしたいとも考えています。

栽培している薬草について「島根日日新聞」に「出雲国風土記の植物」を連載しています。

 


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  • ヤマブドウ科落葉。
  • 国内の山地などで自生。夏に黄色の小さい花をつけ、秋に黒紫色の実を熟す。日本原産でエビズルやエビカズラの名称で呼ばれていた。
    ご存じイザナギノミコトが黄泉の国から脱出する際投げつけた植物で初見は『古事記』である。近年ワインの原料として注目され県内でも奥出雲で生産されている。ヤマブドウが栽培されているこの地はヤマタノオロチゆかりの地で、近くの御室山には「八塩折の酒」を造らせたとされる「釜石」と呼ばれる岩もある。果汁を発酵させた酒を単発酵酒と言うが、縄文時代の信州の遺跡ではヤマブドウの種子が付着した土器が出土しており、すでにこの頃から果実からの酒造りがされていた事が覗える。一方稲作の後に生み出された日本酒生産は少し後の時代とも考えられている。
    もしヤマタノオロチが日本酒ではなくブドウのワインで酔いつぶれたとするなら時代は変わっただろうか。
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  • ボタン科多年草。
  • 山地の林の中などに自生し、4~5月ごろ4~5cmの白い美しい花を上向きにつけます。
    シャクヤクの名は漢名の芍薬(目立つ薬草)から来るもので、古くは中国の『神農本草経』に薬効が載り、日本では『出雲国風土記』に初めてその名が登場します。観賞用としては3000種以上ありますが、薬草としては「大和芍薬」と言われる系統が用いられます。
    この植物は鎮痛や月経正常化等の作用のあるペオニフロリンを主成分とする局方生薬で、漢方薬の芍薬甘草湯や当帰芍薬散などに配合されています。
    芍薬配合漢方の一部は急性期の症状に著効を示し、風土記の時代にこの生薬を使いこなす集団がいたとするなら、畏敬の対象となったことでしょう。
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Photo by (c)Tomo.Yun

  • ヤマモモ科常緑高木。
  • 国内の日当たりの良い海岸、山地に自生。家庭の庭園木、防風林としても栽培されている。
    花は3~4月頃葉脇から小花を付け、果実は6月頃赤色球形の実を結ぶ。この植物は悪条件の環境にも強く実もたくさん付けるので、旧斐川町など各地の町の木として制定されている。斐川町でも婦人部や糖尿病友の会が「やまももの会」として活動している。
    生薬名は果実を楊梅(ようばい)と言い、樹皮を楊梅皮と言う。薬用としては樹皮を粉末にした楊伯散が捻挫や打撲に用いられた様だ。また最近話題の抗酸化成分を含有しており、島根県の指導で開発されたお茶が多伎町から販売されている。
    考古学上国内では縄文時代の遺跡から種子が出土しているが、文献上『記紀』での記載はなく『出雲国風土記』が初見の様だ。
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Photo by (c)Tomo.Yun

  • なでしこ科多年草。
  • 山野の草地に自生。7~9月頃茎の先端に淡紅色または白色の花をつける。薬用としては生薬名「瞿(く)麦子(ばくし)」といい、サポニンを含み駆虫・利尿効果があります。
    サッカーのなでしこジャパンとして有名ですが、元々秋の七草の1つとして日本を代表する植物です。『出雲国風土記』に初見され、『万葉集』や『源氏物語』でも多く詠まれています。
    語源は「撫でたいくらいかわいい子」からで可憐な感じがしますが、実は踏まれても立ちあがるしぶとい植物です。なでしこジャパンの諦めない活躍どおりですね。また学名には「堂々たる神の花」の意味もありこれもフェアプレイのなでしこジャパンそのままですね。
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Photo by (c)Tomo.Yun

  • キキョウ科多年草。
  • 日本各地の山地や沢沿いの傾斜地に自生。花期は8~9月頃青紫色の釣鐘型の花を下向きにつける。
    その語源については若菜を煮て食べると蕎麦の様な匂いがして美味な事から来ているなどの説がある。ちなみに漢名をなどの説がある。ちなみに漢名を

    と言うが、明代の本草書『本草綱目』でも汁を多く含み煮るとドロドロになるとの食材を示す記載がある。これは食製品によく利用される繊維質のイヌリン等の成分を含む為で、現在でもツリガネニンジン等の似た植物と同様に季節料理として親しまれている。
    薬用としてはサポニンを含む去痰薬として用いられていたが現在市場性は覗えない。
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  • キンポウゲ科多年草。
  • 日本各地の山地に自生。花は8~10月ごろ茎頂にその名の語源ともなる兜状の青や紫の美しい花を咲かせる。
  • 根を乾燥させたものは生薬名附子(ぶし)と言い鎮痛、強心、血管拡張に効果のある漢方の配合剤として重要な植物である。一般に流通している薬品は高圧加熱処理され安全だが、強い作用の成分アコニチンを含有しているので未加工の植物の服用は極めて危険である。使用例は古く中国では紀元前から医薬品として使用され、日本でも『養老律令』の賊盗律で規定された植物であった様だ。なお松江付近の古い地名の於宇は附子の別名とも言われ、この地とトリカブトとの関連が指摘されている。古来名医の条件の一つに附子の処方に熟練する事があげられる。
  • 私の持論は「出雲系の人達が大和朝廷の医療や祭礼を担っていた」とするものだが、当時の出雲系の人達が秘伝として附子の処方術を受け継ぎ大和朝廷で活躍していたとするならば、『記紀』での出雲神話の存在感の理由も頷ける。
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  • リンドウ科多年草。
  • 9~11月頃茎頂部に濃紫色の鐘型の花を上向きにつける。
  • 全国の日当たりの良い山野に見られ、生薬名を「竜胆(りゅうたん)」と言う。成分は苦味配糖体のゲンチオピクロサイドやゲンチジン等で、苦い薬の「熊胆」より更に苦いと言う意味でこの名が付いたとされる。別名「疫(えやみ)草(ぐさ)」とも言い『出雲国風土記』が初見で、東西を問わず古くから健胃薬として用いられている。また日本薬局方収載生薬で、尿道炎等に効能のある「竜胆瀉肝湯」や神経痛等に効く「疎経活血湯」などの医療用漢方薬の配合剤として用いられる。
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Photo by (c)Tomo.Yun

  • キンポウゲ科多年草。
  • 山野の日当たりの良い草地に自生。
  • 全体に白い毛でおおわれ、4~5月頃暗赤紫色の花を花茎の先端に1個つける。
  • 2~30年前は県内の山野でも多く見られたのですが、今は環境省の絶滅危惧種に指定されています。『神農本草経』に載り、日本では『延喜式典薬寮』にも出雲からの献上記録があります。生薬名を「白頭翁」と言い、強心や止寫作用のあるアネモニンやテルペノイドを含有し古くは漢方で処方されていたようですが、作用が強いので一般の方の使用は避けた方が無難です。
  • 花言葉は「告げられぬ恋」とあります。動物から毒性の成分で身を守り生きながらえてきたのに、人間の乱獲により滅びるとはなにか悲しい花言葉ですね。
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